あなたの財産を守る、活かす、遺す。北九州市で家族信託なら橋本裕教司法書士事務所

事例1 将来の不動産の売却手続きを家族に任せておきたい

・A(75歳;女性)は夫に先立たれ、自宅で一人暮らしをしている。
・Aには近所に住む一人娘のB(45歳;既婚)がいる。
・将来Aが老人ホームに入所することになった場合には、空き家となる自宅不動産(A名義)は売却し、その代金を入所後の生活費等に充てたいと考えている。
・Aは老人ホームに入所する時点で自分で自宅不動産の売却手続きをできるかどうか不安を感じており、Bに売却の手続きを任せたいと考えている。

◆このままの状態にしておくと・・・・
・仮に施設入所の際にAが認知症などで判断能力の低下をしていた場合、不動産の売却ができなくなるおそれがあります。Aの娘といえどもBがAに代わってA名義の自宅を売ることはできません。Bが「Aは元気な時に施設に入った後は自宅を売りたいと言っていた。」といったところでAの意思は今となっては確認のしようがありません。

◆解決方法(信託の設定)
・Aさんが元気なうちにAを委託者兼受益者、Bを受託者、信託財産を自宅不動産とする信託契約を締結します。
・Aが元気な間はAが自宅をそのまま利用します。Aが施設に入った後はBが自宅を売却し、その代金はBが管理し、施設の支払等に充てるようにします。
・Aが亡くなった後は最終的に残った金銭はBの手に渡るように定めておくことができます。

事例2 賃貸アパートの管理を子どもに任せたい

・A(75歳;男性)は賃貸アパートのオーナーである。
・Aには妻B(65歳)の他、長男C(45歳)、二男D(43歳)がいる。
・アパート経営はいままでAが行ってきたが、Aも高齢となり最近気力も衰え始めたのでアパート経営の一切(適切な時期の増改築や売却を含めて)を近くに住む長男であるCに任せたいと思っている。
・アパートから生じる収益はAが生きている間はAの生活費として、A死亡後はBの生活費に充ててもらいたいと考えている。その後はCDで平等に分配してもらいたい。
・遠くに住んでいる二男Dが長男Cにアパート経営を任せることに反対しないか不安がある。

◆このままの状態にしておくと・・・・
仮にAが認知症などにより判断能力が低下した場合、適切なタイミングでの増改築や売却ができない可能性があります。またAが亡くなった後に長男Cと二男Dがアパートの経営を巡って対立が生じる可能性があります。そうすると妻Bの生活が脅かされる危険があります。

◆解決方法(信託の設定)
・Aが元気なうちにAを委託者兼受益者、長男Cを受託者、信託財産をアパートとする信託契約を締結します。
・Cが以後アパートの経営を行います。適宜増改築したり、売却する権限まで付与しておくこともできます。Aが元気なうちにはアパート経営のノウハウを長男Cに指導するなど後継者としての育成にも努めます。
・Aの判断能力が低下したり、亡くなったりした場合も、長男Cのアパートの経営は継続することになります。
・Aが生きているうちはアパートから生じる収益はAが取得します。Aが亡くなった後には、まず受益者をAから妻であるBに変更します。これによりアパートから生じる収益はBが享受することになります。Bが亡くなった後はCD兄弟でアパートから生じる収益を分配することとします。
・このように信託であらかじめ、自分の判断能力が減退して来た時から自分が亡くなった後のことまで定めておけば無用な相続争い(CD間でのアパート経営を巡る対立など)を防ぐことができます。

事例3 共有不動産の管理を簡単にしたい

・A、B、Cの三兄弟は父親Xからの相続により取得した駐車場をそれぞれ持分3分の1ずつ共有している。
・A、B、Cは兄弟仲は良く、駐車場より生じる賃料収入を3等分して受け取っている。
・Aには子D、Bには子E、Cには子Fがそれぞれいる。
・A、B、Cは自分たちの子供の代になり、自分たちの子供が駐車場の経営をめぐって親戚同士で争いが生じないか心配している。

◆このままの状態にしておくと・・・・
 共有不動産の管理は大変厄介で、共有物の管理・処分には、原則として共有者の過半数の同意又は共有者全員の同意が必要です。そのため共有者同士で一度争いが起こると共有不動産の管理・処分が膠着状態(デッドロック)に陥ってしまう危険があります。今はABCが仲が良いため、このようなことも起こる可能性が低いでしょうが、子供たちの代になると必ずしも上手くいくとは限りません。

◆解決方法(信託の設定)
・ABCのそれぞれの子供の中で最もしっかりしており、正義感の強いDに駐車場を信託します。
・A、B、Cがそれぞれを委託者兼受益者、Dを受託者、駐車場を信託財産とする信託契約を締結します。
・Dは駐車場の管理・運営を適切に行います。将来の一定の時期での売却を予定しておき、売却するタイミングについてもDに判断を任せます。
・各種費用控除後の賃料収益、売却代金は受益者で分配することとなります。
・Aの死亡後は、Aの受益権はDが承継します。Bの死亡後は、Bの受益権はEが承継します。Cの死亡後は、Cの受益権はFが承継します。また受益権が第三者に譲渡されないよう譲渡制限を付けておきます。
・このように不動産の管理処分の権限をDに一任しておくことで、共有者間で不動産の管理・処分方法をめぐって膠着状態(デッドロック)になることを防ぐことができ、円滑・迅速な不動産管理・処分が可能となります。

事例4 配偶者の親族側に財産が承継されると困る

・現在A(70歳)は妻B(68歳)と二人で生活しているが、AB夫婦には子供がいない。
・Aは長男で、先祖代々の土地・建物を両親から引継ぎ、現在はBと二人で住んでいる。
・Aは将来自分が仮にBより先に亡くなった場合も、現在の住まいはBに引き続き利用してもらいたい。
・しかし妻Bが亡くなった後は自分の家系の者に先祖代々の土地・建物を引き継いでもらいたい。
・Aの弟Cの子である甥Dがしっかりしており、財産管理者及び財産承継者に適任であると考えている。

◆遺言で妻Bに先祖代々の土地・建物を相続させてしまうと・・・・
上記のような事例の場合、Aが亡くなった後妻Bが困らないように、住まいの不動産についてBに相続させる遺言を書くことが一般的です。Aの死後、Bは住まいの不動産が自分のものになるので安心して生活できます。しかしBが亡くなった後には、BがAから相続した住まいの不動産はBの兄弟姉妹に相続権が発生してしまうことになります。そうなるとA家の先祖代々の土地・建物が妻Bの親族側の手に渡ってしまうことになります。

◆解決方法(信託の設定)
・委託者兼受益者をA、受託者を甥Dとして、先祖代々の土地・建物を信託財産とする信託契約を締結します。
・Aの生前中はAが住まいとして利用し、A死亡後はBが第二受益者として住まいとして利用できるようにします。
・Bの死亡を信託の終了原因とし、信託終了後の信託財産の帰属権利者を甥Dとします。
・このスキームによりAは自分の亡き後に先祖代々の土地・建物を妻Bに利用させることができ、妻B亡き後はBの親族ではなく、自分の血族であるDに承継させることが可能となります。

コメント
上記の例は子供がいない夫婦の例でしたが、再婚歴のある人で、前妻との間に子供がいるが、後添えの妻との間には子供がいないという場合に、自分が亡くなった後は自宅不動産を後添えの妻に相続してもらい、妻亡き後は妻の兄弟姉妹に相続させるのでなく、前妻との子供に相続させたいという希望がある場合にも上記のスキームを応用することができます(後添えの妻の生活支援・実子承継型信託)。

事例5 煩わしい相続手続を回避したい
    円滑な事業承継をすすめたい

・A(70歳:男性)は株式会社A商事の社長である。A商事の株式300株のうちは200株はAが保有している。
残りの100株についてはAの兄D、弟Eが50株ずつ分けて保有している。
・Aの妻はすでに亡くなっており、Aには長男Bと長女Cの二人の子供がいる。
・AはA商事の後継者は長男Bということで決めているが、長女Cはそれを快く思っていない。
・Aは自分が将来的に判断能力が減退したり、又は亡くなった時に、長男Bと長女Cが、Aの兄弟D,Eを巻き込んで会社経営を巡って対立を起こさないか心配している。

◆このままにしておくと・・・・・
・もしAが認知症になり、A商事の株式の議決権行使ができなくなった場合、会社の重要事項に関して意思決定ができなくなったり、場合によっては兄Dや弟Eに会社の経営権を握られてしまう危険もあります。
・またA亡き後に、後継者である長男BにA商事株式200株が承継されるように遺言を書いておくという方法が考えれます。しかし株式を遺言によって承継させるには、遺言執行の手続きが必要であり、承継までに一定の期間を要します。この間、議決権を行使できないというリスクが生じてしまいます。

◆解決方法(信託の設定)
・Aを委託者兼受益者、長男Bを受託者として信託契約を締結します。信託財産はA商事株式200株です。
・Aが亡くなることを信託の終了事由として、信託財産の帰属権利者を後継者であるBとしておきます。
・Aが元気なうちはどのように議決権を行使するかをAがBに対して指図できるようにしておきます(指図権)。これによりAの会社に対する支配権は現状では維持されます。
・Aが認知症になり、判断能力が低下すれば、Bの判断で議決権を行使できるため、会社経営に支障が生じることはありません。
・Aが亡くなった後にも、特に遺産分割協議や遺言執行などの煩わしい手続きなく、A商事株式200株が円滑に長男Bに承継されることになります。

事例6 親亡き後の知的障害のある子供の財産管理が不安
    相続財産の最終的な国庫帰属を防ぎたい

・A(75歳;女性)には知的障がいをもつ長女B(45歳)がいる。夫はずいぶん前に亡くなっている。
・Aには亡妹の子である姪C(30歳)がおり、近くに住んでおり、A、B親子のために献身的に世話をしてくれている。
・AはBの将来に備えて多額の預貯金を保有しており、自分が亡くなった後にはBの福祉・生活のために活用してもらいたいと考えている。Bが亡くなった後は残った預貯金については自分たち親子に献身的に尽くしてくれたCにもらってほしいと考えている。

◆このままの状態にしておくと・・・・
Aが仮に亡くなった場合、財産は長女Bが相続により取得することになります。ただしBは知的障がいがあるのでせっかくAから受け継いだ預貯金を十分に管理できないおそれがあります。またBが亡くなった後に残った預貯金についてCに引き継いでもらいたいとしても、Bには相続人いないため、結果的にBの財産は原則として国庫に帰属してしまうこととなります。

◆解決方法(信託の設定)
・Aが遺言で長女Bを受益者、姪Cを受託者とする信託を設定します。
・信託財産はBのために蓄えている多額の預貯金とします。
・信託の目的はA亡き後の長女Bの福祉及び生活の支援とします。
・Bが死亡すれば信託終了。信託終了後の最終的な信託財産の帰属権利者はCとします。
・Bのためにさらに成年後見人を選任しておけばBの福祉がより万全となるでしょう。

事例7 私が亡くなった後の、残された認知症の妻の生活が心配

・A(70歳)には、認知症の妻B(72歳)と長女C(45歳)と長男D(42歳)がいる。
・長女Cは近所に住んでおり、金遣いが荒く認知症の妻Bにいつも生活費を無心している。
・長男Dは結婚して実家の近所に家族と住んでおり、AとBの生活を心配している。
・Aは自分が亡くなった後に妻に預貯金を相続させて生活費や介護費に充ててもらいたいと考えているが、長女CがBが相続した財産を自分のために使ってしまいBの生活が脅かされないか心配している。
・妻が亡くなった後に残った財産についてはDに相続してもらいたい。

◆普通の遺言では不十分・・・・
本事例のような場合、自分が亡くなった後の妻の生活のために、預貯金等を妻に相続させる旨の遺言を書くことがよく行われます。確かに妻に相続させる旨の遺言があればAの遺した預貯金等はBに承継することはできます。しかしAから承継した預貯金を認知症のB自身は管理することができないため、場合によっては長女Cの口車に乗り、預貯金を失ってしまうという危険があります。

◆解決方法(信託の設定)
・Aが長男Dを受託者、妻Bを受益者として遺言による信託設定(遺言信託)を行います。
・信託財産はAの預貯金等の金融資産です。
・信託はAの死亡によって効力を生じ、Dが預貯金等を管理し、妻Bの生活のために利用します。
・妻Bの死亡により信託が終了することとし、最終的な信託財産の帰属権利者はDとします。
・長女Cが遺留分(相続人としての最低限の取り分)を主張する可能性があるので、長女Cには信託財産とは別に遺留分程度の金融資産を遺しておくことが望ましいと考えられます。

事例8 浪費家の息子がおり、財産を相続させてもすぐに浪費してしまうかも

・A(75歳;女性)は数年前に夫に先立たれ一人暮らしをしている。Aには亡夫との間に長女Bと長男Cの二人の子供がいる。
・長女Bは結婚して家庭を持っており堅実な性格である。
・長男Cは性格はおとなしいもののギャンブル癖があり、ギャンブルで作った借金を亡夫が本人に代わって返済してあげたこともあった。今は落ち着いているが、余分なお金があるとギャンブルを再開しないとも限らない。
・Aには預貯金が相当程度あり、自分が亡くなった後にはBとCに平等に分けてもらいたいと考えている。しかしCがまとまった預金を相続するとそのお金でギャンブルを再開し、預金を使いきってしまわないか心配である。

◆遺産はただ継がせればいいというわけではない・・・
 親にとって相続というと、相続人である子供たちが遺産の分配で揉めてもらいたくないということとともに、子供たちが承継した遺産を有意義に使ってくれるかということも心配の種でしょう。子供たちがまとまった遺産が承継したがために、生活が派手になってしまい、結果的にかえって生活が困窮してしまったというようなことも現実にはあるようです。浪費癖のある子供がいるような場合は、親としては遺産をただその子供に継がせればいいものではなく、その受け取り方をどうするかまで考えてやる必要があります。

◆解決方法(信託の設定)
・Aが長女Bを受託者、長男Cを受益者として遺言による信託設定(遺言信託)を行います。
・信託財産はAの預貯金のうち長男Cが相続で取得する半分相当。残りの半分は長女Bが相続する。
・信託財産である預貯金は一括してCに交付しません。例えば毎月3万円づつのように一定額を定期金として交付します。ただしCにとって特に必要がある時は、受託者と受益者が協議の上で定期金以外の臨時金を支払うことができるとします。
・Cが死亡するか、預金が無くなった段階で信託は終了することとします。

 
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